ワークショップ事業

「文化芸術による子供育成総合事業-コミュニケーション能力向上事業-」

演劇の手法を活用したコミュニケーション能力育成のための参加体験型プログラムを実施

平成23年度より継続実施している受諾事業。令和4年度は、東京都小平市・埼玉県所沢市の教育委員会と連携協力を行い、演劇の手法を活用した児童生徒のコミュニケーション能力育成のための参加体験型授業(ワークショップ)を地域の小中学校で実施。昨年度より新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、中止となった学校もあったが、教職員との連携協力と事前準備、感染防止対策も行い、計8校でワークショップを実施することができた。

実施校の児童生徒達は、本事業での体験を通して、自分と他者との違いを改めて認識し、その違いを受け入れ、お互いの考えや意見をすり合わせていく活動を継続して体験している。今年度は通常の学校生活を取り戻しつつある学校も多かったが、令和2年度からのコロナ禍の影響で児童生徒達の経験値の不足が見られ、担当教員とも相談の上、様々な状況に対応した新しいプログラムの開発・研究も行なった。

・東京都 小平市立小平第一中学校(1学年)
  小平市立小平第十四小学校(6学年)
  小平市立学園東小学校(6学年)
・埼玉県 所沢市立牛沼小学校(4学年)
  所沢市立松井小学校(2学年)
  所沢市立南小学校(3学年)
  所沢市立中央小学校(6学年)
  所沢市立北中小学校(3学年、4学年)

福島県教育庁「演劇によるコミュニケーション能力育成に関する業務」

福島県の第7次総合教育計画において、社会や地域の創造に貢献できる人材を育てていくためには、他者との対話や協働を通して、様々な立場や意見の違いを乗り越えて共に生きていく力を身につけるコミュニケーション教育が不可欠であると示された。この目的達成のため、令和4年度より県教育庁において「演劇によるコミュニケーション能力育成に関する業務」を開始した。
本事業は、演劇の活動を通して、福島県の児童生徒の「自分の考えや思いを表現する力」「他者の考えや思いを理解する力」の育成と、実践的指導力を有する教員の育成を目指すことを目的として、PAVLICから講師をモデル校に派遣し、演劇による教育活動を実践。また、その講師が実際に児童生徒を指導する場をモデル校の教員等が参観することで、教員の指導力育成にもつなげるため、県教育委員会と協力しオンライン配信研修も行った。

・福島県 福島南高等学校(国際文化科1学年)
  猪苗代高等学校(1学年)
  勿来高等学校(2学年)
  いわき市立平第二小学校(5学年)
  福島市立野田中学校(部活動生徒30名)
  白河市立白河第二中学校(部活動生徒15名)

豊岡市小中一貫教育「豊岡こうのとりプラン」

ローカル&グローバル学習の時間 コミュニケーション教育

国際的な観光地でもある城崎温泉を擁する兵庫県豊岡市では、演劇的手法を活用した「コミュニケーション教育」を市内全小中学校で導入している。
豊岡市教育委員会とPAVLICが協働して、平成27〜28年度にわたって、実施カリキュラムと指導案の作成、及び市内5校にてモデル・ワークショップを実施。29年度から、学校の教員による全校実施を開始。各地区のモデル校では、ワークショップ授業実施状況をPAVLICの担当講師が参観し、事後に実施校の担当教員・学校長、市教委担当者らをまじえた研修会を行い、ファシリテーションにあたっての指導・助言を行った。平成30年度よりPAVLIC所属講師が市内全校を巡回して、各校で同様の研修会を実施した後、令和元年度からは、年間6回のモデル・ワークショップを実施している。

・兵庫県豊岡市 中学校合同(港・城崎・竹野・豊岡北・豊岡南 1学年)
  小学校合同(弘道・福住・寺坂・小坂・小野・合橋・高橋・資母  6学年)
  小学校合同(港・城崎・竹野  6学年)
  小学校合同(府中・八代・日高・静修・三方・清滝  6学年)

豊岡市「令和4年度豊岡市非認知能力向上対策事業」

豊岡市教育委員会が市内の児童生徒の「非認知能力」の向上、およびその研究のために、演劇的手法を活用したワークショップ実施を採用し、令和2年度より事業実施と調査研究をPAVLICと青山学院大学(苅宿研究室)に委託、市内のモデル校2校(資母小・三江小)で、1〜3学年対象に3回(計6回)のワークショップを計画。令和3年度もモデル校で、NPOと大学が協働し、ワークショップ授業の実施と現場検証、対象の児童生徒へのアンケート調査などを行なった。
令和4年度は、市内全域の小学校(24校)1年生対象にクラスごとに3回のワークショップと事前事後アンケート調査を行った。

岡山県奈義町 コミュニケーション教育事業

平成26年度に出生率2.81を記録するなど「子育て応援宣言のまち」として全国でも知られる岡山県勝田郡奈義町において、町教育委員会・PAVLICの協働により、平成29年度から「演劇的手法を活用したコミュニケーション教育の導入」に向けたプロジェクトを開始。平成29年~令和元年度はPAVLIC担当講師による小中学生対象のワークショップと教員研修会を実施。教育委員会と協力して、次年度に向けての具体的なカリキュラムも作成した。
令和2〜4年度にかけては、学校教員によるワークショップ形式によるコミュニケーション授業を実施。PAVLIC講師は授業の様子を視察・観察し、放課後の教員研修会にて助言を行なう。同年より、8月の全町教員研修会において、町内の小中学校教職員と養護教員を対象に、講義とモデルワークショップも継続して行なっている。

・岡山県 奈義町立奈義小学校(4学年、6学年)
  奈義町立奈義中学校(1学年)

福島県立ふたば未来学園中学校
「演劇的手法を使ったコミュニケーションワークショップ」

東日本大震災および震災直後に発生した福島第一原子力発電所での事故により、福島県双葉郡は甚大な被害を受け、今なお復興の途上にある。この地において、震災や原発事故からの復興を実現し、先進的な新しい教育を創造するべく「自立」「協働」「創造」を校訓として、平成27年4月に県立ふたば未来学園高等学校が開校。令和元年度には中学校が開校した。両校では「未来創造型教育」を展開しており、中学校では初年度の1年生を対象に、年間を通して「演劇」の授業(演劇的手法を活用したコミュニケーション・ワークショップ)を実施。PAVLIC講師のわたなべなおこが中心となり、プログラム開発および講師として関わり演劇の授業の中核を担っている。
令和3年度は、全学年を対象に、学年ごとに年間6~8回ずつ、ワークショップを実施。生徒は、その都度、異なるグループで演劇を創作・発表・鑑賞し、その体験を通して自分とは価値観の異なる他者の存在を受容し、他者と協働する力を培っている。

福島県立ふたば未来学園高等学校
「演劇を通して地域の課題を知る学習」

平成27年に開校し、初年度から演劇の手法を活用した授業を行っている、ふたば未来学園の
高校1年生「ふるさと創成学」地域課題研究の演劇指導を前任者より引き継ぎ、令和2年度よりPAVLIC講師のわたなべなおこが中心となり、ワークショップ授業と創作指導を行なっている。
令和3年度も、1年生4クラスを対象に、生徒達が校外で取材した地域の課題について、グループ創作による台本製作を行ない、課題研究を短編作品として立ち上げ、稽古と発表まで行なった。全9回の実施で、3年間の高校生活の中でも負荷が高く、最もクリエイティブな授業として学校も力を入れている。実施にあたっては、PAVLICの演劇講師チームと学校教員が協働して、事前事後打合せ、プログラム作りと運営を継続して行なっている。

福島県浪江町立なみえ創生小中学校
「演劇的手法を使ったコミュニケーションワークショップ」

平成29年3月の一部避難指示解除から、浪江町のそれぞれの学校の伝統と、避難先で挑んだ困難を克服しての学校づくりを引き継ぎ、翌30年に浪江東中学校舎を改装し、小学校と中学校が併設する形の新設校として、なみえ創生小学校・なみえ創生中学校が開校した。
PAVLICでは浪江町教育委員会からの依頼を受け、開校年度よりモデルワークショップを実施を継続しており、令和4年度は、小学校5年生〜中学校3年生までの学年合同(20名)で3回のコミュニケーション・ワークショップのプログラムを実施した。

新潟県新潟市「子どものための芸術文化体験事業」ワークショップ

新潟市文化政策課では令和4年度より、文化芸術を活用し、子どもの創造力を育むこと、また「相手を理解し自分を主張する」ことができるコミュニケーション能力等の向上を図ることを目的に演劇ワークショップの取り組みを開始。今年度は江南小学校の5年生(2クラス)を対象にPAVLIC講師によるモデルワークショップをクラスごとに3回(計6回)実施。事後に生徒アンケートも行い、次年度より本格的な実施を計画している。

都立校生の社会的・職業的自立支援教育プログラム事業

都立校生の社会的・職業的自立支援教育プログラム事業

都立校におけるキャリア教育の取組を充実させるために、平成27年度より地域教育ネットワーク東京都推進協議会の会員団体となり、東京都教育庁地域教育支援部生涯学習課と連携して、演劇の手法を用いたワークショップ授業を行っている。宿泊防災訓練時に行なう防災コミュニケーション・ワークショップや、「日本語コミュニケーション」「道徳」「人間と社会」「キャリア教育」等の授業と連動したプログラムを実施している。
令和3年度より、新型コロナウィルス感染拡大の影響受け、学校との連携協力および感染対策を行い、一部の学校では非接触型プログラムに内容を変更し、令和4年度は計7校でワークショップを行なった。継続校の高島高校では「コミュニケーション・ワークショップ」、定時制の2校(南葛飾高校・大山高校)ではキャリア教育の一環として、全学年対象に年3回実施のコミュニケーション授業を継続して行なっている。

東京都立 石神井高等学校(1学年)
   南葛飾高等学校(定時制1学年)
   髙島高等学校(1学年)
   大山高等学校(定時制全学年)
   小山台高等学校(定時制1学年)
   北園高等学校(2学年)
   昭和高等学校(1学年)

私立山脇学園中学校
演劇手法を活用したコミュニケーションワークショップ

都内の私立中高一貫校の学校法人山脇学園が推奨する「探求的手法を用いた志を育てる教育」の一環として、同中学校に「演劇手法を活用したワークショップ」実施が導入され、PAVLICが実施委託団体となった。R4年度は実施プレ事業として、3学期末の3月に中学1年生/2年生(各8クラス)を対象に、学年総まとめ授業のコミュニケーション・ワークショップをクラスごとに実施した。
来年度の4月には新1年生対象のオリエンテーション・ワークショップ、5月には3年生対象の修学旅行事後学習ワークショップを計画している。

神奈川県立相模原中等教育校
文化祭劇創作のためのワークショップ

神奈川県立の中高一貫校、相模原中等教育校では前身の相模原高校時代から、文化祭でのクラス劇上演の伝統があり、中学2年生の学年でも毎年、歴史学習をテーマとした劇創作の発表を行なっている。近年のコロナ禍の影響により中学1〜2年生の経験不足や新たな創作スキルが求められる状況となり、担当教員からの相談を受け、学校と共同計画したプログラムで3回のワークショップを実施した。
令和4年度の5月に1年生/2年生対象のコミュニケーションと創作のためのワークショップ実施、8月には2年生各クラスで創作した歴史劇作品の稽古に立ち会い、9月の文化祭に向けてのアドバイスや演出指導を行った。

演劇を活用したワークショップ研修会

近年、演劇手法を活用したワークショップが教育やビジネスの分野をはじめ、介護や医療、防災、多文化共生、といった地域課題等においても活用される機会が増え、それらに対応できるファシリテーターおよびコーディネーターを育成することを目的として2019年度から2年間の長期研修講座を開催。2021〜22年度も継続開講し、2019年からの受講生も3年生として専修課程に進み、1年生をサポートしながら相互に行なうプログラム研究を継続した。研修会のプログラム・ディレクションと指導および講座運営をPAVLIC所属講師が担当している。

主催: こまばアゴラ劇場
プログラムディレクター: 田野邦彦、林成彦、わたなべなおこ
講師: 河野悟、北村耕治、菊池ゆみこ、森内美由紀

世田谷区教科「日本語」教科書監修

東京都世田谷区教育委員会からの委嘱を受け、同教育委員会が編集・発行する教科書「日本語」(教科書改訂版製作:大修館書店)の2020年度からの中学2年生単元「演劇を創作してみよう」の書き下ろし協力と監修を行ない、令和4年度も継続して使用されている。

編集担当: 田野邦彦、太田裕子